ひとりでもにんげん

旅好きなのにインドア派、一人でどれだけ遊べるか

【一人旅】日本からイギリスまで飛行機不使用で行った話

初めまして。早速ですが二年前(2016年)、夏の一ヶ月間で飛行機を使わずにどこまで到達できるか? という旅行をした時の話をします。

大まかなルートはこう。日本を船で脱出シベリア鉄道でロシア国内を巡り、ベラルーシポーランドを通過してベルリンへ。ドイツからパリまでは高速鉄道、パリからロンドンまではバス移動、そしてニューカッスルへと至った記録です。

 

その一ヶ月を一日ずつ、何より自分のために日記のような形式で振り返っていけたらな、とここ一年ほどぼんやり思っていました。そこでこの今更ブログ。ウラジオストクでは迷子になり、イルクーツクでは深夜の街を一人さまよう羽目になり、モスクワで現地のロシア人宅へ招かれ……そしていつしかイギリスへ。

 

僕より壮大な旅行をされている方々に道中たくさんお会いしましたが、これも一つの記録として残させてください。一ヶ月の、短い旅行です。少しは現実味のある海外旅行の一例として、どなたか、今この時にも同じようなことを企んでいる方の参考になれば幸いです。某アニメのおかげでソロキャンプとか流行っているけれど、一人旅から始めるのもいいぞ。

f:id:springtruce:20180921144409j:plain

▲どこを向いても水平線。船旅はいいぞ。

f:id:springtruce:20180921160904j:plain

▲船でウラジオストクへ入港すると軍艦に出迎えられる。ソ連時代は撮影禁止だったらしい。

予算獲得

どこにでもいる普通の学生に用意できたのは夏休みの一ヶ月と、日本円にして30万円ちょっとでした。この30万という大金は自動車教習所へ通うために僕がせっせこ貯めていたところ、祖母がその料金を「私の時代はこんなに高くなかった!」とポンと肩代わりしてくれて宙に浮いたものです。ありがとうばあちゃん。愛してるよ。

生来一人でぶらぶらするのが好きな僕は、貯金などはせずこれを元手にどこまで行けそうかをまず考えるのでした。間違いなく海外へは渡れる。飛行機のチケットも取れるだろう。問題は行き先をどこにするか……。

 

大学で所属している学科のこともあり、まず思いついた行き先はヨーロッパでしたが、ただ行って帰ってくるというのも面白くない。何かルールを設けたくなりました。俗に言う「縛りプレイ」です。そこで思いついたのが、最終目的地へ辿り着くまで飛行機は使用しないということでした。もともと、毎年のように青春18きっぷでどこかへ行っていた身です。できるだけゆっくり、しかし確実に、地上を一筆書きになぞりながらひたすら遠くへ遠くへ行きたい……。かけた時間の分だけ、「遠くへ来たのだなあ」という実感も湧くもの……。

 

となれば自ずと思い浮かぶのは、シベリア鉄道の存在でした。となれば早速ロシアへ行こう。どうすりゃいいんだ?

 

下準備

てめえの動機はいいから早く有益な情報を読ませろという方がほとんどでしょう。なのでここでは手始めに「ロシアを安全に旅行する上で必要な物」を列挙します。

  1. パスポート
  2. ルーブルいくらか
  3. ビザ
  4. バウチャー
  5. レギストラーツィア(滞在登録)
  6. ロシアまで/ロシア国内で使用する予定の交通機関の切符
  7. 帰国する手段を証明できるもの
  8. 旅行保険の証明書

「必要な物」と言うよりも「必要な紙類」ですね。ざっと思いつくだけでもこれだけの種類の紙を用意しなくてはなりません。それがロシアという国を遠く離れた印象の存在にし、また同時に魅力的にもします。これら一つ一つを準備する工程では、ロールプレイングゲームのタスクをこなす快感にも似た感覚が得られます。めんどくさがらないで楽しみましょう。これを楽しめないブルジョワの方なら、ツアーコンダクターにでも頼めばいいんじゃないですかね。それはそれで絶対楽しいだろうな。

 

1. パスポート

僕はここから用意しなくてはなりませんでした。成人したので酒も飲めるし10年間有効の旅券だって貰えます。やったね。これが16,000円。証明写真代に1,000円。

 

2.ルーブル

ロシアは現金の文化が根強い国です。現地にATMがあればクレジットカードでルーブルをおろすこともできますが、市場はあるし、シベリア鉄道の車内には時々売り子さんが入ってくるしで細かいのも含めいくらか事前に用意しておくと安心できます。ただし日本で用意する場合、レートは少し悪め。僕がロシアへ渡った2016年8月当時は、1ルーブル=1.6円程度だったと記憶していますが、駅地下の外貨両替屋さんでもぎもぎフルーツみたいなファンキーな髪色したねーちゃんに手渡されたシワシワのルーブルは、1ルーブル=2.1円くらいでした。これでも大手銀行と比べればレートは良かったはず……。

ちなみにその時は20,000ルーブルほど両替しました。日本円にしてだいたい4万円ですね。

 

3.ビザ

さあ、ビザの話をしましょう。これがロシア旅行のハードルをグンと高くしている要因です。ロシアへ入国するにはビザが必須です。言い換えれば、ビザが無ければロシアを旅行できないということ。 

ビザには用途に応じて様々な種類がありますが、一般旅行者が持つべきは「観光ビザ」。ではどこで、どうやってそのビザを取得すればいいのでしょうか。在日ロシア連邦大使館領事部の堅苦しい公式サイトを見てみましょう。

  • 日本国籍の方がロシア連邦に入国するためには、東京、札幌、函館、大阪、新潟いずれかの在日ロシア領事部(館)にビザを申請する必要があります。
  • 渡航する各人が申請書類を用意する必要があります。
  • ビザには招待の形態や渡航期間により有効期間が定められており、ロシアへの入国回数に応じ、シングル、ダブル、マルチプルの3 種類があります。
  • 同時に有効なビザを1つ以上所持することはできません。有効なビザを所持している者が新たにビザを申請する場合、以前に取得したビザは無効となります。
  • ビザ申請は申請者本人、代理人、もしくは旅行代理店を通じて、領事部のビザ・セクションにて直接申請することになります(郵送での申請は受け付けておりませんのでご注意ください)
  • ビザ申請後、領事部が受理証明書(RECEIPT)を発行します。この証明書にビザの仕上がりの日が書いています(PICK-UP)。仕上がりの日以降の、9:30から12:30まで、直接レジスター窓口に受理証明書(RECEIPT)を提供すれば、パスポートがもらえる。
  • 申請したパスポートの数は受理証明書(RECEIPT)に書いてある。

ちゃんと読みましたか? え、読んでない? 大丈夫です。僕も読み飛ばしました。いや、当時は穴があくほど読みましたよ。

ここからわかることを要約すると、ビザを取得するには平日の午前中に、ロシア領事館のある東京か大阪か北海道か新潟へ赴かなくてはならない(しかも申請時と受け取り時の計2回)、となります。カタギの人間にはまず不可能ですね。

ロシア領事館のある地域に運良くお住まいの方でもビザ取得は簡単ではありません。さらに厄介なのが、続いてする「バウチャー」の話です。

 

4.バウチャー

「なにこれ?」と思われる方も多いでしょう。言葉の意味は「証明書・券」なのですが、まあこいつがめんどくさい。再びロシア大使館のページを覗いてみましょう。

  • さらに、旅行会社が発行するバウチャーのコピーを提出していただきます。
    バウチャーには下記の情報がなければなりません:
    • 旅行者のデータ(氏名、生年月日、パスポート番号);
    • ロシア入国日および出国日;
    • 観光ルート、移動手段、宿泊場所、観光プログラム;
    • 旅行会社の署名と印;
    • 支払済み証明;
    • ロシアの受入れ旅行会社名とその旅行レファレンス番号。
  • シングル、ダブルにかかわらず、複数の会社に観光サービスを依頼している場合、それぞれの会社からの書類が必要となります。

    査証申請 - 在日ロシア連邦大使館

 お分かりでしょうか。つまり自力でのビザの発行にあたっては、いつロシアに入り、出るのか、その手段は何か、ロシアではどこに泊まるのか、どこを観光する予定か、それを手配する旅行会社はどこか、ちゃんと支払いはしたのか、それを証明できる書類を各旅行会社から貰ってこいよと大使館はこう言っているわけです。これを記入する書類が「バウチャー」なのです。めんどくせえ……ロシア旅行すんのやめるか……そんなギッチギチの旅なんてしたくないし……。

 

諦めないでください。術はあります。世の中にはそんな面倒なビザ申請を代行してくれる「ビザ申請代行業者」が存在するのです。しかもそこに頼めば面倒なバウチャーも不要。なんでも空(から)バウチャーというものを用意できるらしく、旅程を事前に決めなくても大丈夫なのです。

とはいえ、当然リスクはあります。業者さんへ直接依頼しに行くのでなければパスポートと証明写真を代行業者へ郵送する必要があるため、実際にビザを手にするまでは不安でいっぱいです。パスポートを送ってからビザと共に帰ってくるまで2週間ほどの時間がかかりますしね。少なくとも僕の元へは無事パスポートは帰ってきましたし、ロシア内もそのビザで問題なく旅行できました。「ロシア ビザ 代行」で検索すれば有名どころがヒットすると思います。俺は回し者じゃないからリンクは貼らないぜ!

 

なお、ロシア大使館へ直接出向けばビザは無料で発行してもらえますが、業者さんへ依頼するとプランにもよれど8,000円ほどの費用がかかります。ですが、ロシア国内を自由に動こうとするならば必要な経費だと僕は考えます。どのような旅をしたいかにもよりますけれどね。旅行ルートを事前にきっちり押さえておくか、現地に渡ってから流れに身を任せるか……。僕は後者寄りです。

f:id:springtruce:20180921153408j:plain

▲ロシア観光ビザの期限は30日間。黒塗りは何か悪いことをしてる気分になれていいですね。

 

5.レギストラーツィア

「これ何? ほんと何? 何語?」って方がほとんどでしょう。僕も未だによくわかっていないシステムです。これについては旅行記の中で触れようと思います。ロシアに入ってから手に入れるものですので。

 

今回はこの辺で。次回はシベリア鉄道の切符の入手法事前準備編パート2をお送りします。旅行記はそれから。 ロシアへは行くまでが大変なんです!